楠森堂ブログ

〝希少茶〟実生 在来種のお茶

在来種のお茶

秋、お茶の木には花が咲きます。
茶花〝茶の花〟
その花に寄ってくる蜜蜂や色々な虫たちによって自然交配され茶の実(種)になります。
茶の実ー5[1]〝茶の実〟
茶の実ー2[1]〝茶の種〟
その自然交配によって出来た種は、親木の性質を受け継ぐ事はほとんどなく、様々に性質の違う種となっていきます。
その種から自然に育った(実生)お茶が「在来種」と呼ばれるお茶です。
香味の違う色々な種類のお茶が畑で自然に混ざり合った在来種のお茶は、お茶本来の自然味溢れる香りと深い味わいが特徴です。
在来茶園Ⅰ[1]
【様々な緑色の新芽が混在する在来種のお茶園】
数百種類… あるいはもっとあるかもしれません…
数え切れない程の色々な品種のお茶の樹が同じ畑に混在しています。
〝天然(究極)のブレンド緑茶!〟
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日本に茶が伝わったのは平安時代、伝教大師「最澄」や弘法大師「空海」などが遣唐使として中国に渡り、茶の種を持ち帰ったのが始まりとされています。
茶が伝来して以来千数百年、茶は種(在来種)を蒔くことで伝え広がり、日本人が味わってきたのは在来種のお茶でした…
現在、全国にあるほとんどのお茶園は、生産性の高い品種化(挿し木苗から育成した茶樹)されたお茶園へと転換が進み、在来種(実生)のお茶を作り続ける農家は極めて少なくなり、今では貴重なお茶となっています。


3年前初めて直販をし始め、在来茶を購入し味わって頂いたお客様からよくお聞きするのが「お茶の味がする」、「お茶の香りがする」、「懐かしい味がする」、「さっぱりして飲みやすい」という声でした。
また、一般的に市販されているお茶の味に対しては、「なぜ最近のお茶はこんなに緑なの?」、「このごろのお茶は、なぜこんなに甘いの?」、「甘味が強く何杯も飲めない」という事もよく聞かれました。
お茶が伝来してから昭和の中頃までの一千年以上日本人が味わい親しんできた在来種のお茶を〝お茶本来の味〟とするならば、現代のお茶は品種改良や製造、栽培技術が発達し『緑色で旨み(甘味)のあるお茶』にあまりにもこだわりすぎているように思え、お茶本来の味わいとは違ってきているように思います。
数年前に直販をし始めましたが、予想以上の反響があり、昔ながらの素朴なお茶の味を求めている方もこんなに沢山いたんだ…という事に気づかされたのと、〝普段お茶の葉を買ってまでも飲まない〟お茶にこだわらず、コーヒーなど他の飲み物を普段から飲んでいる…という若い方が、この在来種のお茶を飲んで「美味しかった!」と再び注文を頂く事も多々有るのにも驚きました。
茶業関係の方からは、品質が荒く現代のお茶とは質が違う在来種のお茶は低い評価しかされず、「在来種は収益も上がらないし、品種茶に全部植え替えてしまったほうがいいですよ…」というような事をよく言われます。
国内でも極めて希少となった在来種のお茶…年々在来種のお茶園は減少しています。
現在50種類以上登録のあるお茶の品種がありますが、在来種のお茶がその原点(元祖)でもあり、私は逆に凄く希少的価値があると思いますし「絶対残していかなければならない!」と強く思います。
お茶に限らず日本古来、固有の動植物の在来種も、近年の気候変動や自然破壊による環境の変化、外来種に脅かされたり品種改良が進むことにより、絶滅に瀕しています。絶対に守っていかなければいけません

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