楠森堂ブログ
来春3月に行う伝統行事「壁結」用の竹の切り出し作業
来春3月に行う当家で300年続く伝統行事「壁結」に使用する竹を、先日4日に山から切り出す作業を行いました。
昔から「木六竹八」という言葉があり、木は六月に、竹は八月に切ると丈夫で長持ちすると言われています。
旧暦でいう六月と八月ですから、竹は毎年9月から10月初旬にかけて切り出しています。
今春3月に行われた「壁結」の様子(ニュース映像)クリック!
●『楠森堂』300年の伝統行事「壁結」 H24年3月8日放送
この日最初の作業、真竹を約300本切り出します。
切り出した竹の量はトラック4台分!
この4台が連なって道を走ると… ザザー… ぐぁらぐぁらがらっっ
と、かなりにぎやか…
裏山からの短い距離だからよいものの、さすがにこの状態で公道は走れませんよね~(^_^;)
次は孟宗竹の切り出し作業。
太く真っ直ぐに伸びたものを探します。竹の太さは直径20㎝超えるサイズのものが理想ですが…
大きく曲がった竹、微妙に曲がった竹ばかり…
太く真っ直ぐな理想に見合う竹はなかなか見つかりません
なんとか10本の孟宗竹を探しだし、切り出してきました。
竹を家まで持ち帰るのには軽トラックを利用します。
太い竹の根元をロープで荷台に固定し、先の方にはロープで持ち手をつくり5人がかりで抱え上げながら、数回に分けて数百メートル離れた家まで持ち帰ります。 これが結構重労働(^_^;)
これで午前中の作業は終了です
午後からは持ち帰った竹を加工する作業。
まず、孟宗竹をすべて半分に割っていきます。
片側が薄くなったり、厚くなったりしないよう細心の注意を払いながら真っ二つに割っていきます。
見かけによらず、この作業が一番キツイ作業… 小休憩をとりながら作業を進めていきます。
割り終わると、次は竹垣の角になる竹ぶちを作製します。
曲げる部分を火で炙り、ある程度焦げ目がついた時点で丸太を使い曲げていきます。
竹を曲げる作業は、切り出したばかりの新鮮な状態でなければ出来ない作業です。
出来上がりー
あとは、午前中に切り出してきた真竹を壁結行事の時すぐ使用できるように鉈で刻んでいきます。(挿し竹=竹垣の縦に挿す細い竹“用”)
これで1日がかりの竹切り作業終了!来春の壁結の準備完了!
300年以上続くこの作業… 経費もかかり、利益に繋がる訳でもなく…「こんな大変な作業辞めたら?」「手のかからない壁を作ってしまったら?」ということも度々言われます。
栽培する日本古来の貴重な在来種のお茶園。現代の改良種の茶木に比べ生産性も極めて低く、出荷しても規格外…
周りからは「植え替えてしまえ!」「金にならんめーもん!全部ぶった切ってしまえ!」と言われることも…
大正築の旧製茶工場… 極度に老朽化が進み倒壊の危険も… やはり「解体してしまえば?」ということは言われます。
さらには、文化財指定の家、敷地の維持管理…
このようなことばかり抱え込むなかでも生活をして行かねばならず…極めて厳しい状況です。
守りたいと思っていても、実際守っていくのは本当に大変です…
諦めるのは簡単、辞めるのも簡単、解体してしまえばいい…
この数年本当に苦しい時、何度もそのようなことを考えました。
そんな本当に苦しい時… 今回のボランティアの方々の協力で旧製茶工場の応急補強作業を行っていただいたように、不思議と どこからともなく救いの手が差し伸べられ、なんとか乗り越え、道が作られるという… またそれと同時に人と人との繋がりもどんどん広がっていく…
この数年、幾度となくそのようなことが起こり、何か凄く不思議な感覚を感じています…