楠森堂ブログ
新春に幸多き一年を願う「大福茶」。末永い健康と幸せを願う吉兆のお茶… 古来より伝わる「実生 在来茶」
大福茶は、その誕生からすでに一千余年もの年月を経ています。遡れば平安時代、都に疫病が流行した時に、高僧「空也上人」が十一面観音像を刻み観音にお供えしたお茶を病人達に与えると疫病が平癒したといわれ、又、時の帝、村上天皇の病を癒したとも伝えられています。
それ以来 宮中では、新しい一年の幸福を祈り、悪水、悪気を払う意味を込め、吉例行事として年の初めにお茶を服すようになりました。
王が服す茶で「王服茶」、これが「大福茶」になり、縁起の良いお茶としてお正月に飲む風習が今に伝えられています。
【末永い健康と幸せを願う吉兆のお茶。古来より伝わる「実生 在来茶」 】
古来よりお茶は、縁起の良い祝い事の贈り物として利用されてきました。
九州地方の婚約の儀式「結納式」では、結納品のひとつとして昔から「お茶」を贈る風習があります。
現在でも受け継がれている「祝い事にお茶を贈る風習」が縁起良いとされる元々の由来は、日本古来の実生の在来茶の「根」からきています。
現代の「やぶきた」を代表とする国内のほとんどを占める挿し木苗から育てた改良種(品種茶)の茶樹の根は、地表から比較的浅いところに根を張る為に、育てやすい一方で干ばつなどには弱く、樹勢(樹が育つ勢い)が衰え始める樹齢が30~40年程経過した品種茶の茶樹は植え替えが必要とされています。
一方、日本古来の種子から自然に育った実生の茶樹(在来種)の根は、地中深くまで太く真直ぐに根を張り、水分や栄養分をしっかり蓄える事が出来、干ばつなどにも強いことから「貯蔵根 (ちょぞうこん)」と呼ばれ、又、大地にしっかり根づき簡単には抜けないという事で「ごぼう根 (こん)」とも呼ばれています。
昔から山が火事になっても一番初めに芽を吹くのは「茶」と言われるように、深く根を張る在来種の茶樹は生命力が非常に強く、数百年育ち続けることの出来る樹齢が長い茶の木に育ちます。
実生で育った茶樹は根が大変発達しており簡単には抜けないという事から、いったん嫁入りしたならば、そこに根を張りみだりに夫を代えないことを戒める意味や、婚家にしっかり根づくようにという意味がお茶に込められ、昔から結納品のひとつとしても利用されてきました。
(現代においてはあまり受け入れられない考え…風習かもしれませんが…)
この「実生 在来茶」の力強く成長する姿、長い根が隣の木同士からみ合う姿が大変仲むつまじく見えることなどから、在来茶は昔から結納茶、また、お祝い事の贈り物など、末永い健康と幸せを呼び込む吉兆のお茶として親しまれてきました。
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