楠森堂ブログ

在来種のお茶の現状 Ⅱ

在来種のお茶

私が就農する前までは、摘み採って製茶工場で荒茶(製品に仕上げる前の荒仕上げのお茶)に加工したお茶は、ほぼ全量農協に出荷して小売りは殆んど行っていませんでした。
一年間初めてお茶の生産に携わって在来種のお茶の厳しい現状を知った私は、就農2年目の年、父に「在来茶は希少価値が逆にあるから、それで売り出そうよ」と提案したところ、父は「在来種とか言っても誰も解らんよ」と言われ、ぜんぜん乗り気ではありませんでした。「だったらこっちから教えてあげればいいやん」…
という事から、パッケージ会社に袋を注文し、当時パソコン操作が苦手だった私は、書きたい内容の要望だけ伝えパソコンを使える姉にはチラシ、妹にはパッケージのラベルを作成してもらい製品を仕上げ、まずは私が以前勤めていた会社の時のお世話になった方などにチラシと一緒に仕上げた製品を配ったり、父の知人を通して販売しました。
その後の反応には驚きました…
「何のお茶?美味しかったよ!」「河北君…このお茶美味しいよ。何?このお茶」、「お宅のお茶、お茶の味がするよ!」(・・?「お茶の香りがする」(・・?(お茶なので当然なのでは?)という声や、「90過ぎた婆ちゃんにお茶出したら涙流しながら〝懐かしい味…〟って凄く喜んで飲んでたよ」という声など…
とくに多かったのが「香りがいい」、「何煎もお茶が出る」、「さっぱりして飲みやすい。何杯でも飲める」というような声を沢山いただきました。
何だろう?この反応は…凄く不思議に思いました。
現在、全国で販売されいるお茶のほとんどは「やぶきた」というお茶の品種が占めています。
そして一般的に言われる〝美味しいお茶〟とは、よりグリーン(緑)で、より旨み(甘味)の強いお茶が〝美味しいお茶〟とされています。
お茶の生産に携わり、その〝美味しいお茶〟を初めて味わい、そして栽培方法も知る事が出来ました。
春、お茶摘みを始める一週間程前に被服資材(網の目の細かい黒いシート)でお茶の樹を覆います。
お茶の新芽にはアミノ酸の一種で旨み、甘味成分であるテアニンが含まれており、光合成を行うことにより渋味成分であるカテキンに変化していきますが、被覆して日光を遮ることで変化が抑えられ、テアニンの割合が多くなり、旨み(甘味)が増します。それに加え、新芽の色も緑色を保つ事が出来ます。
それと土作りはもちろんですが、窒素肥料を多くお茶の樹に与える事で、旨み(甘味)を強くする事ができます。
窒素肥料をより多く与えれば旨みの強い〝美味しいお茶〟が出来る、という考えから、以前は窒素肥料を10a当たり100㎏以上も与えていた時代があったようです。しかし吸収しきれなかった窒素肥料(硝酸態窒素)が河川や地下水に流れ込み水質汚染を招き、社会問題に発展した事から、現在では施肥基準が設けられ施肥量もピーク時の半分程度まで削減するよう指導されていました。
しかし、近年続く不況や、若者のお茶(リーフ茶)離れの影響でお茶の消費低迷が続いた事で、〝他の産地に負けない美味いお茶を作ろう!〟という声と共に、再び〝窒素肥料を沢山入れろ〟という声を聞くようになりました。
その自然環境を軽視した指導には疑問を持ちますが…
私の知り合いで、長年無農薬有機栽培に取り組んできた方がいらっしゃいます。
その方が作ったお茶を味わった人の感想を時々耳にする事がありますが、いわゆる〝美味しいお茶〟の味を基準に皆さん味わっていますので、あまり良い感想は聞きません。程好い旨みと渋味のあるお茶です。栽培過程で化成肥料は一切使用せず、自然にある物だけを取り入れたお茶作りをしてあります。  品種のお茶ではありますが、化成肥料で作り出された旨みの強い味とは違い、その自然で素朴な味がお茶本来の味だと私は思います。
今まで地道に無農薬有機栽培を貫いてきたその方は、昨今の〝食の安全〟が取り沙汰される中、色々なところから引き合いがあるようです。
直販を始めて3年目。年々売り上げも上がってきましたが、まだ規模も小さく、生産した多くのお茶は市場に出荷しています。在来種のお茶に対しては相変わらずの評価ですが…
「美味しいよ」と言って頂ける沢山の方の声を励みに、今後も「在来種のお茶」のファンをどんどん新規開拓していきたいと思っています!
手前の芽立ちにバラつきがあるのが在来種の樹で、奥の芽立ちが揃って緑一色なのが「やぶきた」の樹です。違いが分かりますか?
芽立ちの違い-


VOL.4 『スズメのチー子』
食事の時間ははみんなと一緒です。お米大好きです!
昨年の秋、表の田んぼでは沢山のスズメが稲刈りの刈り残した米をついばんでましたが、チー子は炊きたての新米食べてました(^^♪
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ちなみに好きな食べ物は、お米(生米もOK!)煮魚、焼き魚、豆腐、ハム、あんこ。甘いものは大好きです!

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