楠森堂ブログ

また一つ貴重な歴史的建造物が消える… 国の登録有形文化財とは…

河北家

楠森 河北家住宅(楠森堂)は、2004年(H.16)に敷地内8棟の建物が「国の登録有形文化財」に登録されました。
「国の登録有形文化財」とは、都市開発などで歴史のある建築物が消滅するのを防ぐ目的で、1996年(平成8年)の文化財保護法の改正によって創設されました。
『築50年以上が経過し、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないのが選考基準』。
登録されると、修理のための設計監理費の補助や減税の措置は受けられるが、 “ 修理費は所有者負担 ”。維持費に悩む所有者も少なくない。
先日の新聞。 長崎の老舗料亭、国登録有形文化財の「富貴楼 (ふうきろう)」の老朽化が進み、改修には多額の費用がかかり、活用も困難であることから、所有者が文化庁に解体を届け出たとの話題が。
100畳近い大広間のある木造3階建ての「富貴楼」。 坂本龍馬や三菱創業者の岩崎弥太郎ら名士も訪れたと伝わる歴史ある貴重な建物。
今後、文化庁は建物の解体確認後、文化審議会で有形文化財の登録抹消手続きに入り、市の景観重要建造物指定も解除される方向とのこと…
私たちの家屋(楠森堂)も年々老朽化が進み、雨漏りや虫食い、建物の一部損壊など被害が相次ぎ、当座の補修に追われ毎年負担が重くのしかかる。
ある専門家の方からは「本格的な改修には数億円かかる」と言われたことも。
平成16年、有形文化財登録当時は町内でもこの家を知る人自体少なかった。
10数年前、なんとか目を向けてもらおうと、国内から忘れられ失われつつあった在来茶の復活に取り組み、文化財の建物や歴史、周囲の自然環境など、今あるもの全てを活用し、一般開放や演奏会を開催。 様々な方法、切り口で情報を発信し続けてきた。
なんとか建物を守る仕組みを…と、模索し続けてきたが、現状は極めて厳しい…
文化庁のホームページ、「登録有形文化財建造物制度の御案内」には、
『私たちの周りには, 残していきたい風景がたくさんあります。 身近な建造物であっても、 地域に親しまれている建物や、 時代の特色をよく表わしたもの、再び造ることができないものは、 貴重な文化財です。
この文化財建造物を守り、地域の資産として活かすための制度<文化財登録制度>が平成8年に誕生しました。 登録有形文化財建造物は, 50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、 届出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促されています。 これからもこの制度を利用して、 多くの建造物が保存され、 まちづくりや観光などに積極的に活用されることが期待されています。』
…との紹介が。
1996年の制度創設以来、この20数年間、全国で有形文化財として登録された建造物は、11000件を優に超える。
文化財として登録はされたものの、その後は… 個人で守るには限界も…
今回、解体が決まった「富貴楼」。 今後、全国規模で同様の事例が起こることが目に見えている…
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建物 (楠森堂) の一部損壊など被害が相次ぐ。
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