楠森堂ブログ
楠森堂の蛍鑑賞会
昨年の九州北部豪雨の影響で上流の用水路が土砂で埋まり、楠森堂敷地内を流れる水路の水も止まってしまいました。諦めかけていた今年の蛍…
5月下旬、田植えシーズンの応急対策として大型のポンプを使用し川から用水路にポンプアップすることでようやく敷地内の水路にも水が流れ始めました。
水が流れ始めて数日目、例年の半分以下程度ではありましたが、それまで僅かしか飛んでいなかった蛍が徐々に増え始め、中止も考えていた蛍鑑賞会を急遽開催することになりました。
急な事だった為、数名を招待してこじんまりと鑑賞会を行うつもりでしたが…
せっかく開催するなら… という事で、昨秋知り合った地元の“アイデアマン雄さん”のアイデアが炸裂!
初めての試みでしたが、楠森堂の奥座敷を開放しての蛍鑑賞会を開催することになりました。
≪協同主催 : 楠森堂 ・ 『UFO』うきはオモシロ製作所≫
三方の雨戸、障子を開け放ち、昨年秋の催し以来半年ぶりの奥座敷の開放。
日が暮れると、左奥の木々の生い茂る場所に蛍が舞います
蛍が生息する敷地内を流れる水路
会場になる奥座敷。
うきは市吉井町の青花ステンドグラス立丁尾花 さんの和モダンな優しい灯りが幻想的な雰囲気を演出します。
“しつらえ”には、うきは市在住の陶芸家 西田幽一さんの焼絞陶器。
先年の九州北部豪雨で登り窯、多くの作品も流され自宅も水と泥に浸かったそうです…
今回の催しのために僅かに残された“数点”の花卉を快くお貸しいただきました。
夕方開宴
司会進行は、うきはのアイデアマン“雄さん”ことゆむたファームの高木雄治朗さん。
会に先立って出来立て新鮮!自家製の在来種の“新茶”を参加者の皆さんに振る舞いました。
こだわりの食材を使用したお弁当を肴に
地元うきはの酒蔵「いそのさわ」の新酒を味わい
盛り上がってきたところで
今回の蛍鑑賞会のスペシャルゲスト日舞 藤間流師範 藤間 佳福さんの登場。
藤間 佳福さん(37才)は、日本舞踊、三味線、唄をはじめ茶道や着物… 廃れつつある日本の文化を復活させよう、多くの方に身近に親しんでほしい…と、2年前に仕事を辞め現在活発に活動をされてある方です。
最近では日本文化継承に向けたその佳福さんの地道な活動が話題となり、新聞、雑誌など様々なメディアにも取り上げられ始めています。
藤間佳福さんのブログ ⇒ 椿屋 日本舞踊 ※是非ご覧下さい(^^♪
芸事に触れ合う機会などほとんど無い参加者の皆さん、佳福さんの見事な演舞、三味線の演奏に酔いしれ(お酒も入り)すっかり非日常の世界に入り込んで? 大好評でした!
夜8時前、日も暮れ闇に包まれ始めると少しづつ蛍が現れ、時間が経つにつれて沢山の蛍が乱舞し、幻想的な雰囲気に包まれました。
今回会場として使用した奥座敷、瓦も年々ずれ落ち、建物は傾いています…
この建物だけに限らず文化財に指定されてある敷地内8棟の建物すべてが老朽化が激しく、建物の修繕、敷地等の維持管理費が経済的大きな負担となり深刻な状況となっており、今後個人でこの建物、環境を維持管理をしていくのは極めて困難な状況です。
そして希少な在来茶の再興に取り組んで7年、まだまだ厳しい状況です。
今回の蛍鑑賞会、そして秋、紅葉の時期に開催する「蔵開き」などを通して、これまで活用されることのなかった文化財であるこの家や、希少な“在来茶”などを活用し、まず皆さんに家やお茶のことを知っていただきたい… またこの家を活用することで地元の活性化に繋がれば…という思いから一昨年より今回のような催しを開催しております。
家や当家で生産する様々な農産物を活用し、その収益の一部を維持管理費に充てるなど、老朽化が深刻な建物、環境、歴史的景観を今後も守り、後世に伝えていくための仕組みづくりに取り組んでいます。
皆様に主旨をご理解いただき、今後ともご支援・ご協力を宜しくお願い致します。
楠森堂 河北幸高