楠森堂ブログ
急速に老朽化が進む、国指定文化財の家…
先日、JR九州「直方駅」の駅周辺の整備事業と新駅舎完成に伴い、直方市が明治時代に建築された旧駅舎の解体工事に着手する方針を固めたことに、初代博多駅の駅舎を移築した可能性のある明治の面影を今に伝える旧直方駅舎の歴史的価値を訴える市民グループが反発している…という記事が新聞に掲載されてありました。
建物の老朽化や近代化により、年々国内の歴史ある貴重な文化的遺産が姿を消しています…
できればその貴重な文化遺産は後世に残していかなければいけないと私も思います… が、
老朽化…
建物の維持管理に必要となる膨大な経費…
どこの自治体も財政は厳しく、文化遺産の保存に必要な予算を求めるのはなかなか難しいものです。
国指定文化財でもある江戸から大正時代にかけて建てられた私達河北家の住居(楠森堂)も年々老朽化が進み、同様の問題で頭をかかえています。
建物に数箇所ある漆喰にヒビが入り一部崩れ落ちている箇所…
昨日、損傷部分の瓦を剥がし詳しく見てもらうと… 雨水が染み込み梁が完全に腐れる…という重傷。
そのような場所が、まだ数箇所あります…
以前、専門家の方に家を見てもらう事があり、老朽化が進む建物全体の修復にかかる費用を試算してもらったところ…
数千万~…億円…とも
なんとか維持していかなければならないとは強く思っていますが、
一般的な収入から生活に必要な費用とは別に、年々傷みの進む建物の維持費を生み出すのは極めて厳しいものです。
文化的遺産を後世に残していく事は大切なことではありますが、それを維持していくことは本当に大変であることを身を持って感じます。
旧直方駅舎解体の話題もそうですが、今まで目を向けられなかった古い歴史ある建物が、老朽化などにより維持管理が困難となり解体… という話しになると、保存運動が起こる…
「保存」… 言うだけは簡単なことです。
保存し続けていく為に必要な膨大な経費、一時的なブームで終わらせないためにも保存していく必要性の情報発信や、催し(イベント)等を継続的に行うことが大切であるのと同時に、継続させていくことは本当に大変なことだと思います。
保存運動に参加した方達が中心となり知恵を出し合い、保存するために住民一体となり取り組むことが必要だと思います。
メディアなどにも大きく取り上げてもらい解体は阻止したものの、保存運動の盛り上がりが冷めてしまったその後は行政任せ…
この様な光景をよく目にします… これでは悲しいですね。
楠森堂も…
老朽化が急速に進み、早急に補修が必要な箇所も沢山あります。
これから先ずっと維持し続けていくためにも、現在まだ一般に公開していない建物を利用し、維持費を生み出せるような体制作りが必要だと思いますし、以前から色々アイデアも温めてはいるのですが…
農作業を始め色々な面でまだ余裕が無く、なかなかそこまで行き着けないのが現状です
【河北家で300年以上続く家の周りを囲む竹塀の修復行事「壁結い」に向け、来週の10月4日(火)に行事で使用する大量の竹を切り出す作業を行います】
大まかなスケジュールとしましては、午前8時に作業を開始致します。
午前中は、自宅の裏や、数分車で走らせた山から竹を切り出します。
午後から、太く長い孟宗竹を半分に割り、火で炙って曲げる作業や、切り出してきた竹を一定の長さに切り刻む作業などを一日がかりで行います。
見学もできますよ(^^)!
昨年の作業風景はコチラ
昨年の竹の切り出し作業の風景
今年3月に行われた「壁結い」の風景