楠森堂ブログ

カテキンの素晴らしい効能!しかし…

在来種のお茶

今年の一番茶は、春先の寒害や低温の日が続いた影響もあり生育が遅れ、摘採時期が5月下旬と遅くまで続きました。
例年は一番茶と二番茶の間隔が有り色々と他の作業も出来ましたが、今年はその余裕もあまり無く、早くも二番茶突入!
一番茶同様お茶の色(深い緑色)と甘味(旨み)を出すために、一週間後に摘採する予定のお茶園を被覆資材で覆います。
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現代のお茶作りでは一般的となっているこのお茶摘み前の被覆作業。
今年で就農5年目、農業の知識も無く、まったくクリア(固定観念も無く)な状態で農業を始めた私にとってはちょっと疑問を持ってしまう作業行程です…
『カテキン』の驚くべき効能!
古来からお茶は「茶は養生の仙薬なり、延齢の妙術なり。」 と言われるように、お茶を「仙薬」として認識されていました。
現代の科学でも証明されているように、お茶には健康に役立つ沢山の成分が含まれています。
その中で代表的な健康成分の一つ〝カテキン〟。ここ1ヶ月の間にも新茶の時期ということからか、頻繁にテレビ放送でも取り上げられています。
抗酸化作用、がん予防、虫歯予防、抗菌作用、体脂肪を低下させる作用、血中のコレステロールを低下させる作用などなど…この様にカテキンは、人の体を健康に保つ為の素晴らしい効能がある事が証明されています。
現代のお茶の栽培行程で行われる、お茶を摘採する一週間ほど前に行うお茶の木に被覆をする作業…
私が就農した5年前はこの作業は行っていませんでした。
現代のお茶は、旨み(甘味)があり、お茶を淹れた時に緑色!=お茶とされています。
お茶の新芽にはアミノ酸の一種で旨み(甘味)成分であるテアニンが含まれており、光合成を行うことにより渋味成分である「カテキン」に変化していきますが、被覆して日光を遮ることでカテキンへの変化が抑えられ、テアニンの割合が多くなり、旨み(甘味)が増します。そして、茶葉も日光に当たらない事で緑色になっていきます。
この様に渋味成分である『カテキン』の生成を抑え、緑色で甘いお茶を作る為に行うのが、この被覆作業…
と言う事で、現代の渋味が少なくて緑色のお茶には、カテキンの含有量は少ないんですね。
ん~どうなんでしょうね?
数年前まで被覆を行わずお茶を摘み荒茶に加工し、出荷していました。
しかし、お茶の取引を行うセンターの方から、「被覆せず出荷されてあるのは河北さんだけですよ。他のお茶は緑なのにお宅だけ葉っぱが赤く渋味もあるから、目立ってしまってあの様なお茶はなかなか札(ふだ)は入りませんよ(買い手はいませんよ)」…と言われました。
その次の年から、大量に被覆資材を買い込み、出荷するお茶だけは指導された通りに被覆しています。
自販するお茶、上煎茶だけは現代のお茶同様に覆いをしてから摘み採っています。「在来種」に覆いをして高級感のあるお茶に仕上げた冠茶は国内にも珍しく面白いかな?という思いからです。
それ以外の自販するお茶は被覆はせず自然のままに太陽の光をたっぷり浴びて育った茶葉を摘み採って製品にしています。(カテキンたっぷり
渋味もありますが、そのお茶本来の素朴な味が受け入れられて大好評です
ある程度渋味のあるほうが、お茶らしい味わいだと思いますけどね?
どの農作物にも言える事ですが、結局は内容より見た目が重視されるんですかね…


 

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