楠森堂ブログ

『蔵出し新茶』販売開始!!

在来種のお茶

今年の「蔵出し煎茶」の販売を始めました
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古来日本では、新茶を秋に味わっていた…という事をご存知ですか?
「口切り茶」や「封切り茶」、現代では「蔵出し茶」とも呼ばれていますが…
茶道では、秋(十一月)に「口切りの茶事」といわれる一年で最も重要な茶事が伝統的に行われています。
〝お茶のお正月〟のようなものですね[emoji:i-179]。
古来〝新茶〟は、春に摘んだお茶をすぐに味わうのではなく、茶壷に詰めその口を封印し、土蔵などでひと夏寝かせ熟成させていました(後熟)。
そして、空気が乾燥し芳香高く広がる季節の〝秋〟にその壷の口を切り、初めてその年の新茶を味わっていたそうです。
現代では五月頃、日本中が新茶でわきかえります。
古来から〝八十八夜〟に摘んだお茶を飲むと「無病息災」「長寿」をもたらす…という縁起物として新茶を味わう事はありましたが、今ほど大騒ぎはしていなかったそうです。
春に味わう〝旬〟の山菜や野菜には独特の苦味があります。
同様に、昔のお茶は、現代の濃厚な旨みのあるお茶とは違い苦渋味が強かったといいます。
お茶も山菜や野菜のように若々しい春を感じる〝旬〟の香味を楽しむ程度で新茶を味わっていたようです。
その様な事から、昔の人は春に摘んだ茶葉を茶壷に入れ土蔵などで秋まで寝かせ、適度に酸素と触れ合うことでゆるやかに熟成されていき(後熟)、苦渋味もやわらぎやさしくコクのある味わいに仕上がった秋から、その年に採れた新茶を味わっていたそうです。
という様な事は、数年前まで実はまったく知りませんでした
現代では窒素ガスを充填し真空状態で包装、冷凍冷蔵庫などで保管する事で長期間品質を保つことが出来、春に摘んだ新茶の味を年中楽しめる事も可能となっています。
5年前に就農し、その翌年から初めて小売を始めました。
それ以前は、ほぼ全量農協などに出荷していたので、お茶を保存するのに必要な近代的な設備はまったくありませんでした。
あるのは父の実家にある江戸時代から現存する土蔵のみ…
真空梱包する機械などはもちろん持っていない為、「大海」と呼ばれるお茶を出荷する際に使用する袋にお茶を詰め紐で縛っただけの状態で、その土蔵に保管していました。
その年の暮れにたまたまその土蔵に保存していたお茶を味わったところ…春に味わった時とはまた違った、やさしくまろやかな味わいのお茶に変わっていたんです
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という訳で、色々調べてみると…こういう事だったんですね~納得
あるサイトにはこの様な事も書いてありました。
秋から冬にお茶が美味しいのは
「たまたま」「偶然」などが重なって、この「蔵出し煎茶」を製品化するきっかけとなりました。
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後ろに写っている土蔵でお茶を保存しています。
1812年に建てられた河北家に残る建物の中で最も古い建造物です。
国内でも希少となっている昔ながらの在来種の茶葉を使用して作った楠森堂の「蔵出し煎茶」。
是非味わってみて下さい
ところで…
昔のお茶は、苦渋味もあり、そしてお茶を淹れた時の色も茶色や黄色がかった色でした。
現代のお茶が昔のような〝苦渋味〟が強いお茶とは違い〝鮮やかな緑色で濃厚な旨みのあるお茶〟へと変わってきた要因として…は、また次回以降で…


 

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